トランスジェニック人間 1

11月4日

普段通りの昼下がり、太陽は雲の隙間から覗き心地よい光を地上へもたらしている。A氏は仕事をひと段落させオフィスの外にある緑地スペースへと向かった。彼は都市デザインの学校を終了し、建築デザインの会社で働く。特に闘争心や野望をもっているわけではないが、かといって怠け者であったり、夢がないわけではない。全ての住宅に平等に日光が届くようなデザインの実現と彼なりの夢を持って毎日人間社会の一員として過ごしている。A氏の朝は早く、日の出前には起床し太陽が地平線から顔を出す頃にはオフィスで仕事を始めてしまう。ちょうど正午頃日光が一段強く照りつけるようになると、オフィスの緑地スペースに設置された日向ぼっこ用の椅子へ移動する。

ああ今日の太陽は雲に少し隠れてるせいか日差しがあまり強くないな。でもこうして木の隙間を飛び回る小鳥たちを見ながら座っているだけでも心が落ち着く。

A氏は背中に折りたたまれていた、それはまた大きな一枚の葉のような、それでいて鳥の羽のように何層にも複雑に繊細な毛のようなものが重なり合った器官を取り出しながら言った。

夏時間の終わり チリビネガー スパイスピクルス カメレオン見たい

10月29日

一昨日、夏時間が終わったため1日がうんと暗く感じる。部屋に沢山電球があれば別に暗いのは大して問題ではないけど。最近は特に変わったことはない。強いて言えば今週4日間の休暇があると言うこと。紅葉を観に自然公園まで行ってきます。

写真1 職場から帰宅する際の景色

毎日毎日やることが同じな割に進歩しない。進歩しないのは運が悪いからどうたらじゃなく、単に自分の努力があまいだけだと思う。自分の人生が嫌いとか言っている割に何も変化を齎す努力をしない人と同じ。自分は怠け者なのだ。まあ蒸し野菜食べて筋トレしてるせいか、筋肉はついて見た目は良くなったけど、そんな見せ散らかす機会もないし散らかそうとも思わない。

写真2 蒸し野菜 スパイスピクルス(アチャール)チリビネガー

自分は以前物凄く世界に対して好奇心旺盛な時期があって、シンガポールで働きながらマレーシア旅行でもしたな。やってよかったけどもう1回はしない。結局人生はバランスで、うまい具合に色々なことをちょくちょくやりつつ、苦しみが少ない期間を後々振り返って見た時に幸せだったと感じるのかなと。

旅行といえば、南スペインとかに行くと野生でカメレオンとリクガメがいるらしい。それは見に行かなければ!

スウェーデン住居探し 起業 就職 蒸し野菜

10月16日

 

最後に日記を更新したのが2022年であった。以前の投稿の後様々なことが私の人生に起き、何から書き始めようか。

 

まず、今年の2月新たな住宅に引っ越した。この新たな住宅は他に住んでいる2人とキッチン、ダイニングルーム、シャワールームを共有すりコレクティブというシステム。そもそもコレクティブはベジタリアンだったり、LGBTQの方などが同じ価値観を共有する人々同士で住めるようにというコンセプト。私は偶々知人が空き部屋があるから住むかいと、気軽に誘われたまでだけど、これが私にとってはとても幸運であった。共用スペースはあるものの、私の部屋自体は自分名義で国営の業者から借りるため、気が変わるまでずっと住むことができる。大体スウェーデンで自分名義の部屋を見つけるのは、業者の待ち名簿に名前を登録して、3年ほど待ってやっと手に入れるほど難しい。そして自分名義の住居を手に入れたため、自分の会社も持つことが出来た。会社を立ち上げる際に、自分名義の住所やオフィスがない場合少し手続きが複雑になる。

 

期限付きの正規雇用獲得から1年、今終身雇用に昇格するかしないかの狭間にいる。スウェーデンの永住権獲得まであと4年、できれば職場を変更はしたくなかったので、このまま上手く行って欲しい。給料は自分の仕事内容を考慮すると少々低めだが、仕事自体が学びの連続である事、そして確実にスキルアップにつながっていることを考えると悪くはない。日本で就職をした事を想定すると、今の自分の境遇は文句を言う点がない。理系外資系の職を関東で得た場合、無論職場は東京都心周辺だろう。横浜から職場まで、バス、電車を混雑する時間帯に通勤し、夜やっと帰ってきて寝るだけの生活でも年収は多くて500万程だ。今私は、会社までバスに座って40分の通勤。遅くても6時には家に着く。そして新卒にして毎月22万円は貯金にまわせる。家で余った時間は起業した香水ビジネスに充てられる。それなのになぜ自分は人生に不満なのか。それは将来不確実性からの不安が原因だろう。永住権を取ったらそこで不安解消。

 

最近ハマっているのは蒸し野菜と蒸し料理。

北欧諸国 資産運用 投資 スウェーデン 初雪

11月24日

先週から急に本格的な冬の寒さとなり、日の入りも4時ごろと昼でも薄暗い。11月は1年の内で最も鬱になりやすい季節ではあったが、新しいポータブルバスタブ(控えめに言ってバケツ)とビタミンDの摂取で乗り切った。

写真1 一昨日の朝部屋からの眺め 初雪

今日は北欧の特にスウェーデンデンマークでの資産運用について記録しようと思う。というのも今朝スウェーデンISKアカウント(NISAの様なもの)の税が来年から2倍以上になるという記事を見て一瞬焦ったためだ。

写真2 スウェーデンISKアカウントキャピタルゲイン税の変化

多くの方が北欧諸国の高い税率を存知だと思うが、株式等のキャピタルゲイン課税も例外でなく、世界平均と比べスウェーデンが30%、デンマークが42%と高めの設定となっている。しかしデンマークスウェーデン両国とも国民の貯蓄を有効利用するため、また資産形成をし易くするために、それぞれaktiesparekontoデンマークinvesteringssparkontoスウェーデン)という税率の低い口座を使用可能としている。

金融商品を通貨に変換する際に発生する従来の税とは異なり、この2つのアカウントでは入金されている額の17%(デンマーク)0.375%(スウェーデン)を損益に関係なく払う仕組みとなっている。この0.375%が来年から0.882%に上昇する様だ。

デンマークaktiesparekontoNISAと似ており、入金の上限が存在する。一方スウェーデンinvesteringssparkontoは上限が存在しない。NISAでは証券会社を一つ選び、アカウントを作ることができるが、これらのアカウントでは如何なのだろうか。自分はスウェーデンの例しか知らないが、ISKアカウントは複数所持する事が可能である。と言っても大量の証券会社が存在し、異なる商品を売っている訳ではなく、基本スウェーデンではAvanzaNordnetの二択、デンマークではNordnetSaxobankの二択となる。自分は移民でも簡単に解説できるNordnetを使用している。

人気の投資信託は下の写真の様になっている。

写真3 Nordnetの投資信託を購買者数順に並べたもの

管理費が0の北欧諸国のファンドが一番人気で、北米やその他の投資信託が並ぶ。人気の北欧諸国ファンドの内でも、例えばノルウェースウェーデンでは投資先の内訳が異なっている。例えばスウェーデンでは工業系が大部分を占めるのに対し、ノルウェーはエネルギー関連がメインだ。

写真4、5 スウェーデンノルウェー投資信託

(本記事は自分があまり真面に調べもせずに書いたものなので、読み流す程度でお願いします)

 

 

スウェーデン 秋 クリスマス

11月07日

前回の記事から随分と期間が空いてしまったが、漸く日記を再開する気持ちの余裕ができた。前記事が夏至祭であったのに対し、今スウェーデンはすっかり冬模様である。サマータイムがついこの前終わり、日没が1時間早くなった(午後4時日没)。自分の中では11月は1年で最も陰鬱な月であると思う。晴れた日は勿論、落ち葉と辛うじて枝木に付いている茶色がかった葉に光が差し何とも綺麗な景色を観せてくれるが、曇りの日となると朝から終始太陽の光を浴びず仕舞いである。もう2年も此処に住んでいる為、今年は解決策として早めにクリスマスライトを部屋に飾った。陽が落ちて、蝋燭の形をしたこのライトに灯を点すのが曇りの日の楽しみだ。

写真1 マルメの一角

写真2 クリスマスライト

 

スウェーデン ミッドサマー 食費

6月28日

先週末はミッドサマーという祭日だった。自分はマルメのすぐ側にあるロマという街の行事に参加した。この行事では、一般的にマイストンというポールを葉っぱや花で飾るところから始まり、後にそのポールの周りで少し変わった踊りをする。

写真1 マイストンとその周りで踊る人々
その後多くの人は家でスィール(ニシンの酢漬け)やアクヴァヴィット(ディルを漬けたシュナップス)などミッドサマーの夕食を食べる。私は一度、スィールを洗って醤油などで食べたら寿司になるのではと実験して以来一度も食べていない。ハーブやスパイス、お酢を洗い流したスィールは只の腐ったニシンである。

残念ながらここスウェーデンでもインフレーションの影響で生活物資が値上がりしている。そんな中、今日は普段かかる食費について話したい。

スウェーデンは何もかも高いと思われがちだが、どケチの私は月1万から1万5000円ほどを食費に当てている。基本的に安い時に買えるものはなるべく沢山買っておく、そしてどんな物でも作ることが出来るという自信で低価格高満足度の食事が出来る。まずパスタなどはICA basic (ICAスウェーデンのスーパー、イオンブランドの様なもの)を、そして大体毎日じゃがいもを食べる。じゃがいもは運が良ければ1キロ70円ほどで購入することが出来る。

写真2、3 値下げされたアスパラガスとその料理例

生ハムやワインなど食事にエクストラの幸せが欲しい際は、基本的に自分で作る。生ハムやパンチェッタなどの作り方は後々書こうと思う。生ハムは塩漬け(5日ほど)、塩抜き(一晩)、燻製(IHと段ボールで可能、拾った小枝)、乾燥(冷蔵庫にぶち込む)の順で準備すれば間違いない。

写真4 自家製ハムの試食
ワインはベリー類などを拾って作るプレミアムのものも出来るが、基本的にそこら辺に転がってるリンゴから作るのが一番簡単である。クラッシャーやミキサーで液体状にするか、少し熱(熱はなるべく使わないようにする)を加えて潰したものを、プロテインパウダーが入っていた壺にイースト(醸造ショップが街に一つはある、またはオンライン、ワイン用イーストが一番だがパンイーストでも可能)と入れ1週間から2週間RTで待機すると完成。

写真5 熱を加えて作ったリンゴのサイダー

(日本産の豚の方が個人的に質が良い気がするので、是非皆さん作って見て欲しいです。ヨーロッパ産のハムだから美味しいというわけでなく、日本でも十分美味しいハムが作れると自分は思っています。)

北欧 春 修士卒業

5月18日

春から夏にかけてのスコーネはまるで御伽話のようだ。朝は鳥の囀りで目を覚まし、窓を開くと跳ね回るウサギが目にはいる。この心地良い環境が今まで抱えていた煩悶を少しだけだとしても覆い隠してくれる。

写真1 私の部屋の窓からの景色 午後9時

と言うのも自分は今年が始まって以来、卒業後の就職先や進路を何とか見つけることに苦労していた。去年から就職先を探しているだけあり、複数の企業と面接まで漕ぎつけることには成功していたのだが、採用までは手が届かなかった。自分のようなスウェーデン語能力で現地人に引けをとる外国人は何か決定的な能力や経験が無いと、容易く職を見つけることは非常に難しい(職種を選ぶ場合)。自分のコースの同級生は、ほぼ全員期限内に卒論を終えることが出来ず卒業を延期している。実は自分も卒業を秋まで延期することに決めた。

私は、卒業論文をとある企業の商品を使いながら行っていた為、実際その企業で一年間パートタイム労働をしていた。そして幸運なことに、その社長の知り合いの企業がパートタイム労働を募集していたため、この二つの企業で働きながら論文を書くことにした。これが私の卒業延長の理由である。

スウェーデンの様な面識があるか如何かが採用への大きな手掛かりになる場所では、時間をかけて人脈を増やしていくことは重要だと感じている。これから私が生きていけるように祈っておいて下さい。

写真2 仕事帰り 家の周辺